第12章 自覚
彼の言う通り、
そのまま部屋へ引っ込んだ。
どうしたんだろう…。
まだ隆平くんは引き取れないはずだよね?
少なくとも、会うことは
許されないはずだ
晴実さんが言ってた。
『彼女は虐待していたからね。
引き取りはもちろん面会もダメだと思うよ
どれだけ更生していたって
また虐待してしまうかもしらないからね』
なのに…。
どうして隆平くんと一緒に…?
得体の知らない緊張感が
私の心臓の鼓動を早めた。
受け付け辺りが静まった頃。
晴実さんがやって来た。
『騒がせたね。大丈夫かい?』
「私は平気です…。
でも隆平くんは大丈夫ですか?」
『ええ。警察呼んでね、
隆平くんはすぐ五十嵐家に
送ってもらったよ、大丈夫。』
そう聞いてホッとした。
何もなくて一安心だ
『隆平くん、何も話さなかったんだよ』
「…どういうことですか」
晴実さんが心配そうな顔で
私の顔を見る。
『何を聞いても、口を開かない
泣きそうな顔で俯いて震えてたんだよ
何か…、言われたのかもしれないね』
「…私、帰って聞いてみます」
『それがいいね。
でも無理はしないでおくれ?
病み上がりなんだからね』
「はい。」
少ない荷物をまとめて、
足早に事務所を出た。