第12章 自覚
なにムキになってるんだろう。
いつもなら聞き流して
平気な顔して笑えるってのに。
『おい五十嵐!!
今日は居残り授業の日だろう!
サボると単位から引かれるぞ!!』
「いいよいいよ〜。
俺、単位余るぐらい取ったしー」
『お、おい!五十嵐!待っ…』
バタン
大体さ、進学校だからって
居残り授業とかダルすぎるよね!
6時過ぎまで学校なんて。
そこら辺のガリ勉達に
させてればいいじゃん。
俺はやんないよ。
留年しないように
単位を取ってただけ受けてたんだし
「…ってあれ、隆平くん?」
谷間をチラつかせる服を着た、
金髪ロングヘアの女の人と
並んで歩く隆平くん
「りゅっ…!」
声をかけようと、
名前を呼ぶ瞬間
チラッと目が合う。
あれ、なんだろう?
「俺が戻る。
やから忠義達はええやろ」
『何言うてんの。
借金返済の金稼がせるんに
あんただけやと足らんねん。
そんくらい、もう分かるやろ?!』
「忠義と祐也はお前の道具やない!!」
『はあ?うちが産んでやったんや
道具と同じやんか。何があかんの、』
そんな会話をわざと聞かせるように
隆平くんは、
服の裾を強くぎゅっと握ってた