第2章 五十嵐家
と頬に伝う涙に気づく。
どうやら私は泣いているみたいだ。
ぎょ、っと和也くんは驚いていた。
「ご、ごめんなさいっ…」
必死で涙を拭うけど止まってはくれなくて。
初日からこんなんじゃあ、
代理人なんて務まらないよ…
「和也、ちゃんと謝れよ」
潤くんがそう促す。
翔くんも「そうだよ、泣かしたの和だろ」と
怒っている。
「い、いいよ!
大丈夫、大丈夫だよ!」
と慌てて止める。
その姿に驚く一同。
悔しいけれど、泣くなんて卑怯。
きっと何か理由があって言ったことなのに
それに勝手に傷ついて泣くのは、
同情を煽るだけの卑怯者だ。
私は代理人なんだ。
「早く食べ終わろう?冷めちゃうし」
昔もこんなことあった。
親のいない子の気持ち、よく分かる。
私も、親のいない幼少期を過ごしたから。
「お母さん」
「え、」
「今はあんたがお母さんだろ
悪い事言ったら、ちゃんと怒んなよ
コイツ、つけあがるよ」
つ、つけあがる?
「調子に乗るってことね」
翔くんが横から説明してくれる。
「和也も、言っていいことと、
悪いことってのがあるだろ」
「…」
バシッ、と頭を叩かれる和也くん
「…ごめんなさい」
「うん、いいよ」
やっぱり照れながら謝る和也くん。
隣でニヤニヤする雅紀くんに
「気持ち悪っ」と悪態をついている
ようやく明るい空気に戻った