第11章 10月10日限定彼女(銀八side R-18)
エレベーターの中で、俺は下を向いている先生の顎を強引に引き上げ、唇を押し付けた。
「ん……」
先生の胸に渦巻く後悔の嵐はわからないでもない。
だけど、もう遅いから。
部屋に足を踏み入れると、俺は被っていた帽子を投げ、愛里先生の腕をグッと引いて、ベッドに押し倒した。
「きゃっ」
ベッドの上に広がる髪の毛。
逃げられないように、上からのしかかって先生を眺める。ああ、こんな風に先生を見るのは初めてだ。
「待って坂田くん、シャワー浴びてからに、しよ」
「待てない」
「逃げたりしないから」
「そういうことじゃなくて、もう待てない」
俺が一体いつから先生とこうなりたいと思ってたか、先生はわかってないよね。
今日会った時から?全然違う。
一学期の初め、先生を見た時から、ずっとずっとこうしたいと思ってた。
一秒でも早く、先生の身体に触れたい。
俺は先生に口づけた。
舌を入れて、歯列を割って舌をからめると、おずおずと、それに応えるようにしてくれる。俺は嬉しくて口蓋から舌の後ろまで舌先を這わせた。
先生の鼻に抜ける甘い声がする。
「ん…んん…」
その声までも飲み込んで俺のものにしてしまいたくて、息苦しくなるくらいにむさぼる。でも、むさぼってもむさぼっても、乾いていくような気がしてもどかしい。
「本当に今日は、何でも言うこと聞いてくれるんですね」
「約束した、から」
俺は意地悪なことを口にした。
「あの人のために、こうやって他の男の腕の中にいるの?」
「……っ」
先生の身体がビクッと震える。
泣かせるね。でも今日は俺だけのものだから。
首筋に口づける。
彼女の身体がまた震えたけど、抵抗はされなかった。
俺のずるさは、自分が一番わかってる。
責任感の強い先生は断れない。
今を逃せば永遠に手に入らなくなってしまうかもしれない先生に、俺を深く深く刻みつけて。
「今だけでいいから、俺のものでいて」
首筋に唇を這わせながら、そう囁いた。