第11章 10月10日限定彼女(銀八side R-18)
店を出て、ホテル街になっているところに足を向ける。手をつなごうとしたけど、初めは逃げられた。
「誰かに見られたらどうするの」
「こんなところで2人で歩いているんだから、手をつないでいようがいまいが一緒だって」
「……」
そういうと、先生は、おずおずと俺の出した手を握りかえした。
小さくて薄い、女性らしい手だ。
ずっとつないでいたい。本当に俺のものだったらいいのに。
適当によさそうなホテルに入って、部屋を選ぶ。
「やっぱり平日の昼間だから、結構空いてるね」
「来慣れてるのね」
嫌味を言われた。
「そんなことないよ、このホテルは初めて」
「このホテル『は』ね」
国語の先生らしいツッコミに肩をすくめる。まあ、先生らしいっちゃ、らしいけど。
「どんな部屋がいい?」
「坂田くんの好きなのでいいわ」
「ふうん、じゃ、このおされな部屋にしよ」
先生は黙っている。
俺の方を、見ない。