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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第2章 昼下がりの情事(銀八side)


「坂田くんの髪の毛は、やっぱり綺麗ねー」
屋上で昼飯を食べたまま午後の数学をサボッていた俺は、急にかけられた声にビビって振り向いた。
髪を風に靡かせながら、先生が笑っていた。
一瞬叱るのか、と思ったが、彼女はそのまま俺の隣に座る。
「いい場所でしょ。今までは私の特等席だったんだけど」
彼女はそう言いながら、コンビニの袋を開き、手にしていたサンドイッチを食べ始めた。
「今日は忙しかったなー。やっとお昼が食べられる」
俺はその様子をずっと見ていた。いつもは教壇の上に立つ彼女を見上げていたのに、手を伸ばせば届くほどの距離にいる。
「サボッてんの怒んないんですか?」
俺が言うと、彼女は首をかしげて言った。
「ここで出会うの初めてってことは、毎日毎日サボッてるわけじゃなさそうだし」
そしてニヤッと笑って言った。
「私の授業をサボッてるわけじゃないし」
その答えに俺の方が心配になる。
「いいんすか、それで?」
「さぁね!でも、坂田くんは『わかってる』子だから、あんまりひどいことはしないと思ってるよ」
「……珍しいっすね」
「え?何が?」
「この見てくれで、扱いにくい生徒のはずの俺を信用してくれて」
彼女は切れ長の目を見開いた。
「……話してれば、まともな神経をした素直な子だということはわかるよ。学校で求められる軸とはズレてるかもしれないけど」
俺は苦笑した。
「そんな大したモンじゃないっすよ」
「今時の高校生はお子ちゃまが多いから、坂田くんみたいなのは珍しいかも」
「…だとしたら松陽先生に感謝しなきゃなんねーな」
「先生?」
「あー、俺を育ててくれた施設の先生です。悪ガキの俺を高校まで入れるように考えてくれた」
「そっかー、今の坂田くんがあるのはその先生のおかげなのね。じゃあ私も感謝しなきゃ。こんなに国語のできる生徒を私にくれたんだもの」
ギャグでも皮肉でもなく、本気で言っているみたいなので、俺は嬉しかった。自分の敬愛する人を他人が敬愛してくれるというのは嬉しいものなのだと初めて知った。
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