• テキストサイズ

【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第10章 急転直下(銀八side)


「痴話ゲンカ、終わりました?」
我ながら、こんな冷たい声が出るんだな、と感心するほどだ。
振り向いた先生の顔は蒼白だった。
声も出ないほど驚いたのだと思う。
俺は無遠慮に先生の隣に座った。
「……坂田…くん、……ずっといたの?」
「校内で痴話ゲンカするのやめてもらえませんかね?教育上悪いですよね。文化祭の準備をしている最中に、教師同士がイチャつくってのは。それとも見せつけるプレイがお好みですか。」
「そっ……」
「そういう意味では、女教師モノのAV見てるみたいでしたけど、呼び出しの放送がかかって残念でしたね。押し倒されそうになってる先生の写真を携帯に納められただけでも満足ですけど」
これは嘘。先生を追い詰めるために、ちょっと話を盛らせてもらった。
「……写真も撮ったの?」
案の定、先生は悲痛を極める声でつぶやいた。
「坂田くん……」
先生が俺の腕をぎゅっとつかんだ。
こんなことで俺に触れてくれるんじゃなかったら、どんなにいいのかって感じだけど。
「こんなこと、お願いする筋合いがないのはわかってるけど……、お願い……、誰にも言わないで……」
最後の方は声がかすれて、こんなに近くにいるのに、ほとんど聞こえないほどだった。
さっきまですごい剣幕で怒っていた先生が、あの教師のために、俺にこんな顔で懇願している。

先生、俺は今見たこと、誰にも言わないよ。
でもそれは、先生が考えているような理由じゃない。
今見たことが公にされ、あの教師との不倫関係にあることが明らかにされたら、たぶん愛里先生は学校をやめることになる。
あの教師とも別れることになるだろう。
(あの教師が妻と別れて先生と結婚するという、俺にとっての最悪の事態になる可能性もゼロじゃないけど)
だけど、それで先生が俺のものになるわけじゃない。
先生は俺のことを許してくれないだろうし、そもそも先生の心を占めているのはあの教師なんだから、俺の入り込む余地などない。

今なら、先生が「指輪をくれた人と結婚することはない」と、少し青ざめた顔で言った理由がわかる。
その指輪をくれたのは、もう結婚してる人だったんだね。

俺の考えていることなんて知らずに、泣きそうな顔で俺の顔を見上げる先生。

先生……、泣きたいのは、俺のほうです。
/ 218ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp