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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第9章 風は秋色(銀八side)


「付き添いの坂田くんは、何か用なの?」
「あ、いや、まあ」
曖昧な返事をしてしまった。
辰馬が言っていた噂の真相が知りたくて、でも、また指輪にこだわっているのが知られてしまうのも、ちょっと恥ずかしい。
いや、違うな。
本当は、噂が本当だということを知るのが、怖い。
喉がごくり、と鳴った。
(自分でその音の大きさに戸惑った)
「愛里先生、あの」
「ん?」
「じょ、女子の間で、先生の指輪は婚約者にもらったものだ、って話になってるみたいなんですけど」
「え?」
先生が、座ったまま首をかしげて俺を見る。
「……」
「……へえ」
否定しないのかよォォォォォ!
俺は衝撃で頭がクラクラした。
「ひ、否定しないんですか」
「勝手に言わせておけばいいんじゃないの?……あ、結婚して学校やめる噂とか立てられたらやりにくくなるか」
やめ……る?
先生が結婚して学校やめちゃったら、俺、何を生きがいにしてこの学校来ればいいの?
特進クラスに入ったら、あんなことやこんなことしてさせてくれるって言ったのに(どうせ冗談のつもりだろうけど)。
「先生」
俺の視線は縋るようなものだったかもしれない。
「どうしたの?」
「本当にその指輪をくれた人と、結婚するんですか」
「え?」
先生の顔が、少し青ざめたように見えたのは、電灯のせいだろうか。
「……」
「……ううん、この指輪をくれた人と、結婚するなんてこと、ないわ」
先生は静かに言った。
その言葉だけ聞ければ、俺は充分満足だ。
「前に言ったじゃない。昔もらったものだって」
自分の話を聞いていなかったのか、と軽く咎める口調で言われたのも嬉しかった。
俺と話した内容を覚えていてくれているということだから。
だから、口がすべった。
思わず、
「じゃ、じゃあ」
と、言ってしまって、自分で驚いた。
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