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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第1章 始まりは突然に(銀八side)


いやあ…。
俺、国語ナメてた。
高校も2年生になると、こんなオトナな国語が学べるのかと思うと、松陽先生にも感謝しなくちゃな。
しかし、毎回こんなことやられたんじゃ、ワクワクよりゾクゾク、いや、ムラムラしてくるかもしれないな。

放課後、普段なら早々に学校を後にする俺は、国語科資料室を訪れた。
そう、彼女に会いに行ったのだ。
職員室にはちょこちょこ行くけど、この資料室には入ったことがなかったから、入ってちょっと驚いた。
天井に届くほどの本棚が並んでいて、図書館のように…いや、図書館以上に本で溢れかえっている。
かろうじて先生のデスク、そしてソファとテーブルが置かれているのが、この部屋が倉庫でないことを示しているといっていい。
「姫川先生…、すごいっすね、この本」
「そうね。私が赴任する前からこんな感じだったんだけど、地震でも来たら危ないかもね」
「いやいや、笑い事じゃないと思いますけど」
「でもまあ、本に埋もれて死ぬのなら本望かな。『モジカ』みたいで」
「??」
「ああ、ナカジマアツシという作家の小説よ。」
知識の量が違いすぎて漢字変換できない。

「…あのう、今日の小説、すごいっすね。人間関係も昼ドラなみだし、官能シーンはないけど、むしろ逆にそれがエロいっていうか」
彼女はうなずいた。
「なるほどね。でもね、坂田くん。あの小説、ノーベル文学賞作家の作品なのよ」
「はいーー??」
「ノーベル文学賞獲った作品だって、読んだらわかるわよ。何が起こるでもない、主人公の中年男性が、女と関係を持ってる、ってだけ話なんだから」
「マジすか?!なんでそれがノーベル賞なんですか」
「それを考えるのも、おもしろいかもよ。そんなに気になるなら、読んでみたら?」
そう言って彼女は本棚の中から、古い文庫本を2冊出して来た。
「はい、これが今日やった作品。こっちがノーベル賞。読んで感想聞かせてくれる?」
おお、これで会話をするチャンスが増える。
ニヤニヤしそうな顔を必死で押さえながら、「キリッ」の顔を演出して、
「ありがとうございます。」
と言った。
「こちらこそ。こんなに興味を持ってくれる生徒がいて、私も嬉しいわ」
どちらかというと興味があるのは貴女自身にですが、とは言わず、俺は職員室を後にした。
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