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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第7章 夏の終わりのエトセトラ(銀八side)


あー。
これだけ見た目のいい女に、こんなこと言われて嬉しくない男なんていないよな。
だけど俺、こういう、遊びで付き合えなさそーな、マジなタイプって苦手。
「ごめん。俺、好きな人がいるんだ。今は、まだ片思いだけど」
口をついて出てきたのは、こういう断りの言葉。
「……そう、なんだ」
「だから君とは付き合えない」
「あの!……私が、その人みたいになれるよう、努力しても……ダメ?」
うーん、それじゃ、だめなんだよな。
俺が好きなのは、俺が何を言っても切り返してきて、この手で抱きしめようとしても、すっと逃げられてしまうような、手強い人だから。
「ごめんね。君みたいな可愛いコに先に出会ってればよかったね」
耳触りのいいセリフがよどみなく出てくるあたり、我ながら身体で覚えた技って強いよな、と思う。
「じゃあ……、一度だけでいいから、……キスしてほしいの」
おおお。
清楚な顔して随分積極的じゃないの。声が震えてるけど。
「だめかな……やっぱり、好きな人にじゃないと、できない?」
「そうだね」
俺は、椅子から立ち上がり、カウンター越しにその子の顎を軽く指でつまむ。
「……!」
あー俺の手にまで震えが伝わってくるよ。これはこれで初々しくて可愛いけどな。
そのまま唇を近づけるふりをしながら、触れる瞬間、頬に口づける。
緊張しているのか、頬が冷たい。
そしてそのまま、耳元に囁く。
「悪いと思うから、誰にも、ナイショね」
「!!」
その子の身体がびく、と震える。小動物みたいだ。
身体を離し、ビジネススマイルを見せてあげる。
「2人だけの、ナイショね」
「……うん……ありがとう」
彼女が顔を真っ赤にしながら走り去る足音が響いた。

ふー。
やっぱりもったいなかったかな。
だけど。
俺の脳裏に愛里先生の顔が浮かぶ。
屋上で、愛里先生とはキス(どころかその先まで)したくなったんだもんな。
あの現実の初夏の昼下がりでも。
あの真夏の夜の夢の中でも。
それに比べると、ビジネススマイルで対処できちゃうってことは、結局それだけってことなんだろう。
ごめんね、名前も知らない君。
やっぱり俺、愛里先生のことが好きみたいなんだ。
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