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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第6章 真夏の夜の夢(銀八side)


ねえ、愛里先生、俺だってバカじゃないからわかるよ。
寄ってくる男を深入りさせないためのお守りって言ったけど、それはつまり、自分が深入りしないための戒め、ってことだろ?
その指輪をくれた男のことを、大事に大事に心の中にしまっているってことだろ?
たとえ身体を別の男に投げ出しても、心はその男にしか渡さない、ってことだろ?
俺は……俺は、先生の心も身体も全部ほしい。
今はどっちも手に入っていないけど。
先生の心の中を占めている、俺の知らないその男をどかすには、どうしたらいい?

最後の花火が終わるまで、先生と俺は屋上にいた。
儚い、儚い、光の花びら。
先生に触れられたのも、夢の中だけ。
儚い、儚い、真夏の夜の夢。
誰か本当に、魔法の薬をくれないかな。
寝ている先生の目にかけて、目が覚めるまで、ずっと俺が抱きしめているから。
何度でも何度でも、繰り返し抱きしめているから。

「次に会うのは、二学期かな」
校門を出たところで愛里先生が言った。
「いや、夏休み中も学校来て勉強します。特進クラス入って、先生に約束守ってもらうために」
「あー、じゃあ頑張って」
「うわ、冷たいなー先生。俺が質問しにいっても答えてくれないんですか」
「そんなことないわよ。そこはちゃんとフェアにやってあげる。その代わり!」
「え?」
「夏休みの宿題忘れてないよね。夏目漱石の『こころ』全文読破して感想文だから」
「はい」
「漫画の『こころ』も出てるけど、それで読んだつもりになってたらダメだから」
「ぐ…、はい」
「それ終わらないうちは、質問しにきちゃだめ」
「ぐぐ…、はい…」
やっぱり先生って、ドSだと思うんだけど。
颯爽と去って行く先生の後ろ姿を見送りながら、俺は心からそう思った。
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