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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第6章 真夏の夜の夢(銀八side)


肝心の団体戦当日。
一、二回戦は順当に勝ち進んだが、三回戦で上位常連校に当たってしまい、かなり善戦したけれども、地力で勝る相手に勝利することはできなかった。
「俺たちが助っ人の足を引っ張って、悪かったな」
大将にそんなことを言われると、返す言葉がない。
「でも、お前が来てくれて団体戦にも出られた。心から礼を言う」
ストイックな副将に頭まで下げられて、俺はちょっと居心地が悪いくらいだった。
「え、あの、そんな」
「あと一つ、準々決勝まで行ければ、学校での剣道部の立場も良くなっただろうけどね」
「いいんですよ、先輩。三回戦進出だなんて、久々の快挙ですよね」
「後はお前たちが新一年生をたくさんいれることだな」
「そうですね」
「……」
俺は、ギプスをしたまま輪の外で笑顔を見せている男に向かい、差し入れのポカリの缶を、
「ほらよ」
と投げ渡した。
「ああ、坂田さん、ありがと」
そう言いながら、ギプスをした方の腕が反応を見せた。
「!」
ギプスに当たり、缶が転がる。
「……やっぱりお前、ギプスはフェイクだったんだな」
「……」
「ギプスをするような大怪我をした奴が、その腕でポカリを受け取ろうとするわけないもんな」
「……いつからわかってたの?坂田さん」
「んー、何となくな。お前みたいなタイプ、腕が折れてもなんでも、隠して試合出そうだからよ。それなのに、何の葛藤もなく、助っ人を頼むなんてお前らしくないよな」
「ぼくらしい?」
「思い出したんだよ。あの乱闘騒ぎの後、うちの部員のところに謝罪に来てたの、お前だろ」
申し訳ありませんでした、と、青ざめた顔で謝罪をしていた細身の学ランの男。
どんな罵倒でも受ける覚悟がある、そういう顔に見えた。
その後に起きた出来事のインパクトが強すぎて、薄れていた記憶――。
「そういう正義感の強い奴が、簡単に団体戦をあきらめるとは思えねぇ」
「……ぼくみたいに存在感の薄い人間のことを、坂田さんが覚えていてくれたなんて」
「光強ければ、闇もまた深し、ってな。……なあ」
その後に頬を指でかきながら、こう言葉を継いだ俺の顔は、たぶん赤くなっていただろう。
「また……、時々剣道場に顔を出してもいいか?」
「もちろん!誰が何て言おうと、坂田さんは剣道部の永久名誉部員だよ」
「俺はそんな柄じゃねえよ。でも、……ありがとな、黒子野」
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