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【銀魂/3Z】国語教師の作り方!

第6章 真夏の夜の夢(銀八side)


それから一週間ほど、午後まで補習を受け、暗くなるまで剣道場で稽古を重ねる日が続いた。
正直身体はクタクタだったからホストのバイトもろくに行けない。まあ、バイトの方は愛里先生と約束したからあんまり行く気にならないけどな。
でもって、夏休みだからってお気楽気分で女のところに転がり込んだりもできない。まあ、それもなんか…あんまり行く気にならないんだよな。

一人剣道場に残り、素振りを繰り返したあと、日の暮れた剣道場脇の水道で頭から水をかぶる。
だが、火照った身体はぬるい水では到底冷やされそうになかった。
身体の芯が熱く燃えさかる。
バイトだの女だのに気を散らすことで必死で押さえ込んでいた、「鬼」と呼ばれていた頃の自分が、再び呼び起こされそうになっているのに気づく。
だめだ。だめだ。
もう人を傷つけないように、誰からも笑顔を奪わないようにしたいのに。

「坂田くんが剣道部の助っ人になったって本当だったのね」
頭の上から愛里先生の声がした。
俺が今一番二人だけで逢いたい人。
そして、一番二人だけで逢うのが怖い人。
俺は顔を上げると、髪の毛をぷるぷると振った。
「情報早いですね」
「坂田くんが剣道やってたなんて、知らなかったわ」
「もうやめてからかなり経つんですけど、これでも昔は結構強かったんですよ」
「『夜叉』って呼ばれてたんだって?」
俺は肩をすくめる。
「それはたぶん、剣道の腕じゃなくて、別の暴れ方をしていた時の通り名です」
「ふふ。死んだ魚のような目をして、本当は夜叉を飼い慣らしてるだけなのね」
「試してみます?」
「やめとくわ。でも、本当に白い剣道着が似合うのね」
「惚れました?」
「そうね」
ねえ先生。
こんな無防備な笑顔で、鬼の前に立っちゃだめだって。
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