第22章 見えなく、して
本気で別の男を呼ぶつもりで言ったわけじゃない。
でも、ホテル街から男と出てきた先生を目の当たりにしたその夜の俺は、ちょっとおかしくなっていたのだと思う。
先生の心に俺を刻み付けたいばかりに、ほとんど強姦するような形で先生を犯してしまったから。
他の男を呼びつけて、快楽と嫌悪に引き裂かれる先生の顔をゆっくり眺めるのもいいかな。
そしてそれをネタに、また先生を脅迫して……。
憎悪であったとしても、先生の心が俺で飽和するくらいにしてやりたい。
そんなことを考えていた。
だけど、快楽に潤んだ瞳で俺を見ながら、先生は想像を超えた言葉を返した。
「や……他の人とか……呼ばないで。銀八くん……銀八くんがいいの。銀八くんので、気持ちよくして……」
ぞくり、と背中に淫欲が走った。
何だコレ。
先生、まだだいぶ酔ってるの?
さっきまで他の男のを銜え込んでいたくせに、俺のがいいとか言いやがって。
他の男にもみんな、そう言ってるんだろ。
そうやって他の男の心をもてあそんでるんだろ。
でも……。
嘘でも、嬉しかった。
結局、俺は先生のことが好きで好きでたまらなくて。
そんなガキ臭ェ男だっていうことを思い知らされる。
耳まで赤くなっていたかもしれない。
急にバクバクと鳴り始めた心臓の音を隠すように、俺は起き上がった。
「さっきまで他の男の咥えてたくせに、よく言いますね。国語の教師って、ホスト以上に口が上手いってこと?それとも、前後不覚になるくらい酔っ払ってるんですか?」
「違うの、さっきの人とはしてたわけじゃ……」
その言葉も信じたわけじゃない。
だけど、その言葉を信じたいと思ってしまうほど、俺は愛里先生に焦がれていた。
「ふうん。じゃあ、先生のお望み通り、俺ので気持ちよくしてあげますね」