第21章 色のない世界(girl's side)
騒動からしばらくして、連れ立って校門を出る二人の姿を見かけた。
放課後に好きな人と一緒に帰る。
それがどんなに心浮き立つことなのか、私だって知らないわけではない。
彼はそっけない顔で歩いていたが、女子生徒の方は少し顔を赤くして、うつむいて歩いていた。
手をつなぐとか、そういう関係ではまだないのかもしれない。
私はため息をついた。
初々しさがまぶしすぎる。
私が過去に失った恋心の煌めきを、今目の前で見せつけられているような、そんな気がした。
年齢も立場も、釣り合いのとれる二人。
羨ましい。
妬ましい。
「あなたの大好きな坂田くんはね、私とホテルで身体を重ねているのよ」
そんな風に、初々しいその耳に囁いてみたい衝動にすら駆られる。
最低だ。
最低な女だ、私は。
この胸にこみ上げる膿のような気持ちを消し去ってしまえたら、どんなにいいだろう。