第18章 踏んだり蹴ったり殴られたり(銀八 side)
で、授業返上で、職員室の隣にある面談室で説教を食らう。
「どういうことなんだっ!」
「……友達にネタで買ってきてほしいって言われたから買ったんです」
「誰だその友達は!」
「この学校の奴じゃないです」
「ふざけんな!」
そんなことの繰り返し。
俺が誰かを妊娠させた証拠であるわけもなし。
まあ、学校に持ってくるべきモノじゃないけど、
のらりくらりと交わして、反省文でも書されて、うやむやにするつもりだった。
タバコや酒が見つかったのと違って、別に法律に違反しているわけでもねえしな。
ところが。
事態は俺の想像の斜め上をいっていた。
一時間目の授業が終わった後、大きな足音を立てて、面談室に飛び込んできた人間がいる。
「先生!」
ドアを勢いよく開けて飛び込んできたのは、シノハラだった。
うわ。
最悪だ。
このタイミングで飛び込んでこられたら、ますます疑われるっつうの。
俺の思惑になど気づかず、シノハラは叫んだ。
「松平先生!銀ちゃんは悪くないんです!」
いきなり飛び込んできたシノハラに、さすがにとっつぁんも目を白黒(厳密にいうと、色つきのメガネだからよく見えない)させていた。
「ユカリ!」
さらに後ろから来たのは月詠だった。
うわ。
月詠まで来たら、ますます話がややこしくなるんじゃねえの?