第18章 踏んだり蹴ったり殴られたり(銀八 side)
で、翌日。
俺はこっそり妊娠検査薬を胸ポケットに入れ、学校に行った。
昼休みにシノハラと月詠が呼び出しに来るだろうから、屋上でもどこでも人のいないところで渡すつもりだった。
だが。
事態は思ってもみない方向に転がった。
朝のHRの時間、いきなり隣のクラスの奴が飛び込んできた。
「おい、今B組でタバコが見つかったからよ、持ち物検査始まるらしいぜ」
ざわつく教室。
俺は思わず、胸ポケットに入れた小さな箱に手をやった。
うーん、タバコとコレと、どっちがまずいだろ。
しばらくして、担任と、松平のとっつぁんこと、学年主任の松平片栗虎が教室に入ってきた。
この学年主任、極道を生業にしてるんじゃねえかって感じのイカつすぎる教師。
今日は竹刀を手にしている。
「てめえら、学校に関係のねえモン持ってきてねえだろうな。3つ数えるカバンの中身を机の上にブチまけろ。さもねえと、この竹刀が待ってるぜ」
「いーーーち」
バシイィィィィンンンン!!
教卓を思い切り叩く竹刀の音。
クラス全員(担任も)の動きが止まる。
「せ、せんせ……2と3はァ……?」
「うるせーな。男は1だけ覚えていれば生きていけるんだよ」
あのォ、それ、数学の先生に怒られると思うんですけど……。