第18章 踏んだり蹴ったり殴られたり(銀八 side)
繁華街のドラッグストアに足を向ける。
妊娠検査薬なんて、売り場のどこに売ってるのかもわからなかったから、結構店内をうろうろしてしまった。
ようやく見つけたソレを手に取ろうとしたとき、後ろから聞き覚えのある声がした。
「おい銀八、そんなモン買ってどうすんだ。女孕ませたか?」
振り向くとそこには、片目に眼帯をした男が、ヤクルトを手に立っていた。
全くタイミングがいいんだか悪いんだかわからんねえな。
「堕ろさせるんなら、うちの実家もあるぜ」
ニヤニヤしながら話す晋助。
腹立つな、もう。
「俺が孕ませたんじゃねえよ。友達に買わされてんだ」
「へええ『友達』ねェ?」
「何だよ、その目は」
だが、晋助が言った次の言葉に俺は驚かされた。
「こないだファミレスに一緒にいた年上の彼女を孕ませたんじゃねえの?」
ファミレス。
ここ最近、ファミレスに女連れでいたのなんて、最初に愛里先生とホテルに行ったあとと、次に愛里先生とホテルに行く前のどちらかしかない。
そのどっちを見られていたのかはわからないけど、とにかく知り合いに見られていたなんて。
冷や汗が背中を流れた。
帽子かぶってたけど、知ってる奴ならわかる。
晋助ならまだ大丈夫だが、学校の奴らに見られたら、さすがにまずい。
「ちげェよ」
「じゃ、別の女?」
「だから、俺が孕ませたんじゃねえっつってるだろォォォ!?」
晋助はまだニヤニヤしたままで話を続ける。