第18章 踏んだり蹴ったり殴られたり(銀八 side)
「銀ちゃあああああん、ミッくんが、マユの取ったああああああ」
俺たちの恋バナは、泣きわめくガキの声で強制終了となった。
「うるせえな、いちいち泣いてんじゃねえぞ」
「だってええええええ」
「ほら、これで髪の毛結んでやるから、我慢しろ」
「あれがいいの!」
「これだって可愛いじゃねえか。銀さんは、ミノルが取ったのより、こっちのが好きだなあ」
「……じゃあこれで結んで」
「よしよし」
ガキをいなしながら相手してやる俺の姿を見て、華さんは言った。
「銀ちゃんて、ガキ好きだよね」
「そうか?うるせえばっかりだろ」
「っていうか、扱いが上手いよ。あたしここで育ったけど、そんなふうにガキの相手してあげられないもん」
「そうか?」
「ガキ生まれても、いい父親やりそうだね」
「だから、別に妊娠させたわけじゃないってば!」
「まあまあ、そんな怒らないでよ。ソレは信じてるって。でも、ガキ相手の仕事とかいいんじゃないのって思った」
「この施設に永久就職するって手もあるよなって最近思ってきた」
「保育士とかもいいんじゃない?」
そうかな。
自分ではよくわかんねえよ。