第4章 再契約(銀八side)
気がついたら、朝の8時半だった。
どうやって自分の家に帰りついたかわからない。
ホストの衣裳のまま、自分のベッドに倒れ込んでいたのだ。
誰かが連れて帰ってくれたのか…、いや、とにかくこの割れるような頭痛。
そして、あと15分で国語の試験が始まるというこの事実に気づく。
俺は飛び起きて、シャワーもまともに浴びずに(一応酒を抜きたかったからだが、全然抜けてるわけがない)制服に着替え、学校までの道のりを走った。
90点獲るなんてこと、できそうにない。
そりゃそうだ、まともに受けたって獲れるかどうかわからない点数なんだから。
でも、だからって、試験を受けないなんて先生に失礼だ。
俺はそう思った。
とんでもねえ点数獲って先生に軽蔑されてもなんでも、敵前逃亡したと思われるよりずっとマシだ。
二日酔いの身体に長距離走はマジでキツい。
何とか試験開始時間までに教室にもぐりこんで席に着いたものの、頭痛はますますひどくなり、心臓の鼓動と同時に鈍器でこめかみをなぐられているような状態だ。
どうして、試験なんか受けられるだろう。
授業でやったはずの文章が、何度読んでも全然頭に入ってこない。
まともな日本語を綴れやしない。
「ごめん、先生」
絶望的な点数の予感がした。
試験を2時間こなし(しかも間の休み時間にはトイレでげーげー吐いた。吐くほど胃にモノが入ってないから、胃がひっくり返るかと思った)、蒼白の顔で、俺は国語科資料室に向かった。
90点獲るとか何とか、あんだけ大見得切っておいて、すげえカッコ悪いけど。
逃げたくなるけど。
やっぱり、一言謝らないと、ダメだよな。