第17章 人の不幸は蜜の味(銀八side)
愚かな俺を受け止めてくれる女神をその手に抱いて、まどろんでいたつもりだったのに。
翌朝目覚ましの音で目を覚ますと、愛里先生は既にいなくなっていた。
さっきまで感じていたぬくもりは、ただの幻想だったのだろうか。
目につくところに俺の服がたたまれていて、その上にホテル代が置かれていた。
ホテル代を女性に払わせるなんて、俺はなんて甲斐性のない男なんだ。
しかも、学校に間に合う時間に俺が起きられるよう、目覚ましをセットしてくれた先生の気遣い。
先生の身体の方が辛かったに決まってる。
そんなことさえ気を回せない俺のような子供を、先生が本気で相手にしてくれるはずもないよな。
他の女と過ごした次の日だったら、ちょいちょい学校をサボってきた。
でも、愛里先生がちゃんと仕事に行っているというのに、俺が休むことなんてカッコ悪すぎる。
這ってでも学校に行かないと。
一旦家に帰り、身支度を済ませて学校に向かう。
先生をこの腕に抱きしめていた感触が離れないまま。