第14章 俺の知ってるあいつと俺の知らないあいつ(晋助side)
入院中に、剣道部が無期限休止に追い込まれたことを知った。
正直俺は左目の視力を失ってやさぐれていたから、俺がこんな思いをしているのだから、廃部になって当たり前だ、と思っていた。
見舞いに来た銀八や松陽先生を見ても、その気持ちは当然晴れなかった。
それが顔に出ていたのだと思う。
後から聞けば、最後まで乱闘を止めていたという銀八は、哀しそうな目で俺のことを見つめていた。
自分のことを責めていたのかもしれない。
それにしても、どうしてこう、掛け違ったボタンは元に戻らないのだろう。
つくづく思う。
俺の見舞いに来たその帰り道、暴走した自動車が歩道に乗り上げ、銀八を守った松陽先生は命を落とした。
俺がそれを知らされたのは、退院した後。
全てが終わった後だった。
法事の席で松陽先生の道場に通っていた仲間と一緒に遺影に手を合わせた時、銀八は表情のない目で俺のことを見つめていた。
死んだ魚のような目。
今では銀八のトレードマークになっているあの目は、そのときからのものだ