第13章 特進クラス争奪戦(銀八side)Rー18
3人で歩いていると、
「おい、お前!」
と呼び止められた。
そこに立っていたのは、あのイトウとかいう教師だ。
そりゃ同じ学校にいるんだから校舎内で顔を合わせる可能性があるのは当然だけど、どうして授業担当されているわけでもない教師、しかも今一番顔を合わせたくない教師に出会ってしまうんだろう。
俺は小さく舌打ちした。
「何でTシャツにジャージなんだ。規定のワイシャツはどうした。ふざけた格好は頭の色だけにしろ」
頭の色も天パも生まれつきだっつうの。
今天パ関係ないけど、いちいち言い方がムカつくな。
「こいつ、授業中に鼻血を出してシャツが血だらけになったので、保健室で干してもらってます」
辰馬が気を利かせて説明してくれたが、
「保健室はランドリーじゃない!」
となぜか怒鳴られた。
「洗ってくれたのは保健の先生のご厚意です。俺が頼んだわけではありません。俺は別に血だらけのシャツのままでも良かったんですが、スプラッタな俺の姿を見て気分悪くなる奴がいても困るんで。ジャージも保健室からお借りしています」
俺は腹立たしさを押さえながら、できるだけ冷静にそう言った。
「ふん。変わったことがしたいんなら、周りに迷惑かけるな。お前らの素行で特進クラスに入れると思うなよ」
そう言い捨てて、教師は去って行った。
俺はその後ろ姿をにらみつけながら思った。
あの男に愛里先生が惹かれていて、あの男を守るためだけに、俺に身体を開いただなんて。
俺の方が、先生をずっと好きなのに。
どうして。
あの男のどこがいいんですか、先生。