第11章 10月10日限定彼女(銀八side R-18)
俺が鎖骨の上に付けた痕はまだ残っていた。
ちょっとこのままだとまずいかな。でももう秋だし、服で隠れるよな。
そう思いながら、下着だけ穿いて、ベッドに横たわる先生を抱きしめた。
「先生、もう、夜になっちゃったよ」
「ん……」
彼女はゆっくりと目を開けた。
「あ……」
焦点が合ってない、ぼんやりした顔。国語科資料室で寝ている先生を起こしたときも、こんな顔したね。
今度この顔見たら、きっと今日のこと思い出すだろうな。
俺の顔を見て、自分の置かれた状況を思い出したのか、彼女は恥ずかしそうに身をよじった。
「あっ、あの…銀八くん……」
「ん?何?」
「そんな見ないで…恥ずかしい……」
半分夢の中にいるような声で、彼女が言う。
「なんで?」
「だって……」
先生は顔を手で隠してしまった。俺は耳元に囁く。
「でも俺は、先生の可愛い顔と声が聞けて、すっげえ、嬉しかった」
「…だって、…銀八くん、すごい上手、なんだもん……」
うわ。うわうわうわ。
お世辞かもしれないけど、こんなこと言われて喜ばない男がいますかねェェェェ?
ま、そこらへんの同年代の男には、場数からして負ける気しないけど。
「そうですか。じゃあこれからも、身体が疼いたら、いつでも万事屋銀ちゃんにご用命を。……また天国見せてあげますよ」
茶化して言ったけど、先生は、
「きっと、他の女の予約でいっぱいなんでしょ?」
と切り返してきた。
ああ、いつもの先生に戻ったな。
「先生だったら、当日でもその場でも最優先です」
「……ふふ。じゃあ、覚えておくわね」
先生が浴びるシャワーの音を聴きながら、俺は、ぼんやり考えていた。
こんなに気持ちよかったセックスを、忘れることなんてできそうにない。
先生が、俺の何分の一かでも、そう思ってくれてたら。
俺が手に入れたのは、先生の身体だけで、心は別の男のものだっていうことはわかっている。
だけど、もっともっと犯し尽くして、完全に狂わせたら、俺だけのものになってくれるかな。
先生、先生にとって、俺は何番目の男ですか。
順番は、どうやったら繰り上げてくれますか?
俺には失うものなんてないし、先生と一緒なら、地獄の果ててでも行けますけど。