第1章 俺の前では
「銀ちゃん、まじ綺麗になったアル」
お風呂場から神楽が出てくる
あの女の子を無理やりお風呂に入れたのはいいけど
着替えとか考えてなかったから、神楽に頼んだ
「お登勢さんが着物貸してくださったんですよね、良かったですね」
新八がエプロンをつけながら言う。
「ん~そうだな」
俺はそっけなく返事をして
ソファに寝転ぶ
ジャンプ、びしょ濡れになっちまったじゃねえか
名前はというらしい。
歳は二十歳だった。
「わあ!似合ってるアル!」
「ホントだ、綺麗ですね」
神楽と新八の言葉で
お風呂場の方に目をやる
「…お風呂と着物、ありがとう…ございます」
そこには見違えるほど綺麗になったがいた
「銀ちゃん!買い物行こうよ!と一緒に!」
「はあ?何しに行くんだよ」
「いいですね!僕ご飯作っとくんで行ってきてください」
「サダハルのご飯と明日の朝ごはんの材料アル」
_______
「いや、なんでこうなるの」
「こっちが聞きたいわよ」
神楽とサダハルと四人で出かけたはずが
神楽がサダハルとどっか行っちまった
「はぁ、仕方ねぇ。さっさと済ませるぞ」
「……わたし、帰らないと」
「はぁ?帰るとこもねぇのにか」
「…なんでしってんのよ」
「みりゃわかんだろ」
「…」
相変わらずふてぶてしいやつ
「しばらくここにいりゃいいよ」
「は?」
「っだから、俺の家に住ませてやるって言ってんだよ」
「そんな、いいわよ」
「素直になれ」
そう言うと静かになるそいつは悔しそうに俯いた。
プライドは高いみてぇだが
そのプライドも貫く余裕がねぇほど困ってたんだな。
「ほら、今日から家族だ。となり歩けばいい」
顔は見ずにそう言った
こいつの涙に気づかないでやるために