第1章 俺の前では
あれから何日たっただろう
俺はジャンプを買いに出かけて
その帰り道
突然雨が降り出した。
「…ったく、なんでこんな時に…って、ん?」
俺が雨宿りしていると
目線の先には見覚えのある顔
「どこで見たんだっけな」
そいつは路地裏で雨宿り、といったところか
いや、体は濡れてるみたいだった。
「何してんだ?」
俺がガン見しすぎたせいか
そいつは視線に気づくと振り返る
殺気立ったその目で
俺は思い出す
「お前っ!あん時の…!」
「……」
俺の顔を覚えてたのか
そいつは冷めた目で静かに俺を見た
「何してんだ、風邪引くぞ」
「……」
私に構うな、とでも言うような顔は雨に濡れて
「前とおんなじ着物じゃねえか、年頃の女の子がもったいねぇな」
少し挑発すれば
「っうるさい!」
「はい、引っかかった」
すぐに乗るんだろ
「はっ離して!!」
俺はそいつを捕まえると雨の中を関係なく歩く
元から濡れてたんだ、
ちょっとくらい我慢しろよ
なんで依頼もされてない知らねぇやつに
こんなことしてんだ俺は
袖から覗いた傷に同情でもしたか
…らしくねぇ