第3章 夏が始まる
私は眼を瞑り黙りこむ。
青峰は彼女のそれを是と受けとめ、顔を近づける。
青峰「…… エレナ………」
二人の唇がさらに近づく。
あと数ミリ____
というところで、私は目を開け、青峰を見つめる。
すると、それに気づいた青峰は一瞬動きを止めたが、すぐに距離を積めてきた。
チュッ
青峰「___ん?」
青峰の唇が触れた先は、私の唇ではなく掌だった。
「………今日、頑張ったらね?」
にっこりと笑いかけると、青峰ははぁーっと深いため息をつき俯くと、頭をガシガシと掻いた。
そのまま私のほうをチラリと見ると、ニッと口角をあげて笑った。
青峰「………あとで、覚えておけよ…?」
「……望むところよ?」
私も青峰と同じようにニヤリと返す。
青峰「__プッ……あはははっ!」
「__ふっあははっ!」
二人で一通り笑い終えると、改めて家へと出発した。
重い荷物はなにも言わずとも青峰が持ってくれた。
「大輝、大丈夫?重いよね…?」
青峰「あぁ、こーゆーの馴れてっから大丈夫。しかし、独り暮らしにしちゃあ、多くねぇか?」
「……ありがとう。本当に優しいね。……あっ今日さ、征くんと真くんも来るし、大輝の勉強終わったら皆で夕飯一緒に食べようかなって。……あ、言ってなかったけど、大丈夫?」
青峰はニッと楽しそうに笑うと頷いた。
青峰「まじ?!食う食う!!うちは全然平気だし。うっわ、すっげヤル気でた。…あ、言っとくけど、俺、スゲー食うぜ?」
「ふふっ美味しいって言ってもらえるよう頑張りまーす♪」