第3章 夏が始まる
電話の向こうの赤司がクスリと笑う。
赤司「……もちろんだよ。エレナの手料理も久々だしね。楽しみにしているよ。……じゃあ、お休み。」
「うんっお休みなさい、征くん。」
電話を切った私は明日の仕事のスケジュール確認をし、続いて寝る準備をした。
ベッドに入ると疲れていたのか直ぐに深い眠りへと堕ちていった。
_______翌日。
早朝からの撮影を終え、帰宅途中の私はスーパーにて食材を買っていた。
育ち盛りの男の子が3人も食べるとなるとそれなりに食材の量も必要になり、思った以上に重くなってしまった。
頑張ろうと自分を奮い立たせていた時、携帯が鳴り、ディスプレイを見ると"青峰大輝"の文字。
「もしもし、大輝?」
青峰「おー。もうすぐ、家着くんだけど何階だっけ?」
「あー…7階、なんだけど……実はまだ外なんだよね;ちょっとスーパーで買い物してて。」
青峰「あ?どこの店にいんの?」
「駅前のイ〇ンだよー。」
青峰「駅前のイ〇ンね。行くわ、待ってろよ。」
その言葉とともに切れる通話。
私は感謝の気持ちを切れたディスプレイに呟いた。
「何だかんだ優しいんだから……大輝は。ありがとう。」
10分ほど経過した時、遠くから背の高い青髪の男の子が走ってくるのが見えた。
「___大輝っ!」
私に気づいた青峰はニカッと笑うと、走ってきた勢いのまま私に抱きついた。
「エレナーっ!会いたかったぜー!」
突然の衝撃に驚く私だったが、わざわざ走ってきてくれたことが嬉しくて、彼の背中に腕をまわし、抱き締め返した。
「私もっ!ありがとう。大輝っ」
しかし、いつまで経っても一向に離れる気配のない青峰。
今は私の首もとに頭をすりすりと擦り付けていた。
肌に触れる髪がくすぐったく、私は逃げようとするも、力強い青峰の腕により捕まったままだった。
青峰「あー……たまんねぇ………」
はぁーっと息を吐きながら呟く青峰の背中をポンポンと叩きながら、私は小さく抗議の声を出す。
「大輝…?そろそろ、離してほしいんですが………帰ろう?」
青峰は私の首元からパッと頭を離すと、真面目な顔をした青峰と目があった。
青峰「………キス……してくれたら、離す。」