第3章 夏が始まる
楽しい会もお開きとなり、泊まっていく!と宣言をした桃井とともに片付けをしていた。
先程まで青峰が、俺も泊まる!と駄々をこねては、赤司によって一刀両断され泣く泣く帰っていく、という騒ぎがあったが、青峰等どうでもよいと言うように話続ける桃井の姿に少し青峰が可哀想に思える。
桃井「__でねっ先輩がぁ、留学するまでならいいよって言ってくれたのぉ!」
今の話題は桃井と高柳先輩の所謂馴れ初めを聞いていたところで、桃井が終始幸せそうに話す姿に私までも嬉しくなってしまう。
「良かったねぇ!凄いいい雰囲気だもんね、さつきと先輩♪羨ましいくらいだよ~」
桃井「ふふ♡エレナだって、赤司くんとイイ感じじゃない♡実際どうなのよー??」
拭いているお皿を片手に覗き込んでくる桃井の顔は、実に楽しそうで、観念した私は両手を上げて降参のポーズを見せた。
「う~ん……征くんのことは好きだし、ドキドキするけど、これがさつきみたいな"好き"なのかは分からないんだよね。ドキドキだったら大輝や修くんにもするし………。だから、さつきみたいに真っ直ぐに"好き"って思えるのが羨ましいって思っちゃうの。」
困ったように笑いながら話す私の言葉を静かに聞いていてくれた桃井が、ゆっくりと話始める。
桃井「そっかぁ………でも、確かに他の男の子にドキッとすることはあっても、今先輩に感じてるドキドキとはちょっと違う気もする………。先輩を思うとね、胸がきゅうって苦しくなるし、ドキドキして、心がポッと暖かくなるの。………きっとエレナにもそんな風に思える瞬間がくるよ。……近いうちにね?」
「………さつき……ありがとう///」
いつか私も征くんや大輝に、もしかしたら違う人にさつきみたいに思う日がくるといいな、と胸に抱きながら、夜が更けるまでさつきと二人で話し込んでいたのだった。
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朝になり、朝食を食べ終え、身支度を済ませた私たちは、私は撮影に、桃井は部活の前に家に戻るため揃って家を出た。
桃井「じゃあ、また後でね♪」
そう言い去っていく桃井の後ろ姿に笑顔を向けながら、自分自身に気合いをいれて。
「よしっ今日も頑張るぞっ!」
LAに帰る日までのあと少しの時間、精一杯皆のために頑張ろうと心に誓い、私は撮影に向かうべく駅へと歩を進めた。