第2章 出会い
【宮地 清志】
『キスしたくなる唇』
それが、このリップグロスのテーマだった。
目の前で少し目を潤ませ見つめてくるエレナは、とても綺麗で、俺はうっかり仕事だということを忘れそうになっていた。
(あー………キスしてぇ………)
触れるギリギリの距離まで唇を近づけ、右手を彼女の左手に絡ませていく。
触れた指から伝わるエレナの熱が愛しい___
ここで、何も気にせず彼女を俺のものに出来たらどれだけ楽か……
俺はな、
気づいちゃったんだよ。
自分の気持ち。
あ?今更?
うっせー………
本気の恋、初めてなんだよ………
そんな俺の気持ちに気づきもしないで、当の本人は少し頬を赤くさせ俺を見つめている。
(…バカエレナ。そんな顔で見つめてくんじゃねぇよ///!こっちは、我慢してんだっつの!割るぞ!)
ポージングを微妙に変えながら、こんなにも近くにいるのにキスできない歯痒さにストレスを感じてしまう。
カメラマン「じゃ、次は二人とも少し微笑みながらやってみてー!」
その言葉に目の前のエレナがふわりと微笑む。
(……っ///この笑顔がたまんなく好きだ。やべぇ……どんどんハマってく……くそっ///)
___決めた。
後で、本当にキス
してやるからな。
………覚悟しとけよ?