第2章 出会い
撮影が進み、あと1カットで終了というところで、カメラマンは手を止め、ふと何かを考えるように空を仰いだ。
カメラマン「__よし。そこのショップのショーウィンドーを背にしてエレナちゃん立ってみて?」
「…こうですか?」
私が指示の通りにショーウィンドーの前に立つと、カメラマンは頷いた。
カメラマン「…で、清志くんはエレナちゃんの正面に立って……いや、違う。もっと近く。そうそう、体くっつけて、手も繋いで。」
カメラマンに言われるまま宮地と私は向き合ったまま体をほぼ隙間がないほどに接近させていた。
あまりの距離の近さにお互いの頬が仄かに染まる。
宮地(な、何だこれ…///!?すげー近い…つか近すぎるっつの!ぜってぇ顔に出てっし…しかも、照れてるエレナ堪んねぇ///)
(わ……さすがにこの距離は緊張するな…///。あっキヨくんって睫毛長いなぁ…女の子みたい)
カメラマン「いいね!つぎ、おでこくっつけて!ちょっとはにかむ感じね!」
宮地は少し体を屈ませると私の額に自分の額をくっつけた。
お互いに覗きこうむように相手を見ると自然と笑顔が溢れる。恥ずかしい気持ちはあれど、それすら二人で共有すると、撮影に入り込んだ。
やはり、二人ともプロのモデルとだけあって、多少私情はあれど表には出さず、求められるシーンを作り出していた。
そんなこともあって、今回の撮影での二人の評価は高く、写真の出来映えも上々だった。
カメラマン「___はい!これで撮影終了です!お疲れ様でした!!」
終了を告げるカメラマンの声に、私と宮地は今まで感じていたほどよい緊張感から解放され、ほっとしていた。
「今日はまさかの再会にびっくりしたけど、またこうして会えて嬉しかったよ。明日もよろしくね?キヨくん♪」
ニコリと笑い顔を見上げると、見んな、と言われ、頭をグシャグシャとかき乱された。
ひどい、と抗議すると片方の口角を上げて笑う宮地の顔が目に入った。
宮地「……俺もビビった。…でも、会って納得したわ。……じゃ、また明日な~」
「え?納得?ちょ、ちょっと!キヨくん?」
意味深な言葉を残し、手を上げ去っていく宮地の背中を見つめながら小さく息を漏らす。
何はともあれ、嬉しい出会いが1つ、増えたことは嬉しかった。