第2章 出会い
車の中で高嶺は私に書類の入ったファイルを渡した。
受け取り目を通すと、これからのスケジュールと撮影の企画内容がまとめられていた。
高嶺「や~~久々の帰国だったし、営業、張り切っちゃったよ。ま、そんなんやんなくても、お前指名の仕事多いんだけどね。日程少ないし、選りすぐりでー。んで、もって今日のは『Vi●i』って雑誌の5p分くらいの単発企画だから肩慣らしによろしくぅ!」
いつになくハイテンションな高嶺に私は小さく溜め息を漏らす。
ペラリと企画書をめくると明日、明後日の撮影内容が書かれていた。
「明日と明後日のやつって…『sm●rt』とのコラボってかいてあるけど…あれ?男の子と絡みあり…って?」
私が訊ねると高嶺は運転しながらも実に楽しそうな様子で私に視線を向けた。
高嶺「そう!それ!今回のメイン♪初日は『sma●t』の__あ、今若者に人気のメンズ雑誌ね?それの人気モデルの"ミヤキヨ"との恋人デート設定のロケ写撮影だよ。んで、2日目は化粧品メーカーの新商品のグロスの宣伝写真撮りで、テーマは【キスしたくなる唇】!!同じくミヤキヨと恋人設定で絡む感じで~♪」
恋人設定での絡み、と聞き動揺する私だったが、高嶺は全く気にすることなく話を続けていた。
高嶺「まー所謂あれだよ。壁ドンでキスしそうなギリギリまで口近づけてーってイメージ?あ、ちなみに、"ミヤキヨ"はね、今メンズモデルで人気急上昇の超イケメン君だよ。だ、け、ど!!うちのエレナのほうが断然綺麗で目を引くからミヤキヨ人気をまるごとかっさらってやるつもりでぇ!!」
興奮した様子で捲し立てる高嶺を半ば呆れた様子であしらいながら、私は頭のなかに一人の顔を思い浮かべていた。
___この前、不良に絡まれた時助けてくれた人って宮地さんだったよね……?
あの人もかなりの美形だったけど、この企画書に書いてある
"宮地 清志"
は同一人物だったり____?
高嶺「__っ!_エレナっ!?ボーッとしてどうした?…スタジオ、着いたぞ?」
高嶺の声にハッとし、意識を戻すと慌てて車を降りる準備を始める。
高嶺の後ろを歩きながら、先程まで頭の中に浮かんでいた疑問に一先ず蓋をし、これから行う撮影のために私は仕事スイッチを入れたのだった___