第2章 出会い
いつになく焦った様子の赤司の姿に、桃井の作る料理が凄まじいものであることがなんとなく想像できた。
一軍全員が頭を下げるほどってどんな料理なんだろう……
この時、私は興味心と恐怖心を抱くが、その真実は近い将来目の当たりにすることとなる。
「…わ、わかった。合宿も皆のお手伝いさせてもらうね!……じゃあ、高嶺さんに電話して皆がテスト期間中に仕事入れてもらうようにお願いしなくっちゃ。あ、でも、買い物も行きたいから、付き合ってほしいなぁ…?」
私が悪戯に微笑みながら赤司を覗きこむと、赤司はフウと息を吐き、微笑んだ。
赤司「もちろんだよ。仕事の予定が分かったら教えてくれるかい?」
「うんっ後で高嶺さんに電話するから、決まり次第教えるね♪」
そのまま二人で手を繋ぎ、雑談しながら家まで帰る。
何となくだが、赤司と一緒に歩くときは手を繋ぐのが当たり前のようになりつつあった。
赤司「じゃあ、今日もありがとう。……おやすみ。」
玄関の前まで着くと赤司は軽く私を抱き締め、額にキスをした。
「こちらこそ、疲れてるのに送ってくれてありがとう。また、明日ね?…おやすみなさい。」
赤司と二人で微笑み合い別れを告げると、そのまま彼が去っていくのを見送ってる。
廊下を曲がる手前で赤司はこちらを振り返り、微笑みながら手を振ってくれる。
そんな彼の行動が嬉しくて私も笑顔になると、同じように赤司に向けて手を振った。
____玄関に入り、鍵をかけると同時に鳴り出す携帯。
ディスプレイを見ると
【高嶺さん】
の文字。
先程の話を聞いてたのかと思ってしまうような電話のタイミングに少し驚くが、気を取り直し通話ボタンを押した。
「はい。エレナです。」
私はモデルの仕事をしている際は"エレナ"という芸名で通っている。
高嶺『あっ高嶺ですー!今後のスケジュールの件なんだけど___』
「あっ、そのことなんですがっ!」
高嶺が話し出そうとした瞬間に、慌てて修正すべく私は声を張る。
電話の向こうの高嶺が不穏な空気を出しているのがわかる。