第2章 出会い
青峰「なっ!?お、おいっ!紫原てめーっ___」
目の前で私に抱きつき耳を甘噛みする紫原を止めようと青峰は前に出るが、背後から声がかかり、動きを止めた。
赤司「……紫原。少し、冗談が過ぎるぞ。」
その声の主こと赤司は、表情はいつもと変わらず穏やかだが、その目と声色には怒りが感じられた。
「征くんっ」
紫原は赤司の存在に気づくとパッと私の体を解放した。
紫原「もー赤ちん、いちいち怒んないでよ。わるかったってば~」
そう言い紫原はタオルで汗の処理をしながら去っていった。
赤司は私の腕を掴むと、そのままグイ、と自分のほうへ引き寄せると、バランスを崩した私の体は赤司の腕の中に収まってしまう。
赤司「…… エレナ」
軽く抱き締められたかと思うと、すぐに赤司の体は離れるが、向き合うその顔は、少し困ったように微笑んでいた。
「……征くん……?」
赤司「……すまない。つい、かっとなってしまったよ。今日も送るから、着替えたら門のところで待っていてほしい。」
「……うん。待ってるね。それと……練習、お疲れさまでしたっ」
赤司「あぁ…ありがとう。____それと、青峰。」
今まで愛しむようにエレナを見つめていた赤司の目が突然青峰に向けられ、当の青峰はビクリと反応した。
青峰「あ?な、何だよ…?」
赤司「……お前はまだ気づいていないようだが……虹村さんがスゴい形相で睨み付けてるぞ?……早いところ謝りに行った方がいいんじゃないか?」
赤司の言葉に青峰は目を見開くとそのまま虹村がいるであろう方向へと顔を向けた。
すると確かに怒りオーラ全快の虹村が青峰を見つめながら、人差し指で"こっちに来い"の仕草をしている。
青峰(うっわ?!やっべ……!!すげぇキレてるんだけど……;;;!)
同時に青峰の背中には悪寒が走るのだが、青峰は渋々虹村の元へ制裁を受けに小走りで向かった。
私はそんな青峰の後ろ姿を見つめながら、小さな笑みを溢すのであった。