第2章 出会い
何だか一人様子のおかしい?青峰をマットの上に寝かせると利き脚であろう右足の太股に触れる。
瞬間、青峰の体がビクリと反応した。
「あ…急に触ったからびっくりしたよね?ごめんっ」
私が慌てて謝るが、青峰は突っ伏したまま小さな声で"別に気にすんな"と答えただけだった。
「そう?なら続けるね?……違和感あったらすぐ教えてね?」
再び彼の右足へと触れてみると、その筋肉は柔軟性に富み、柔らかさを保っていることがわかる
こちらのマッサージは疲労回復を主として行うだけでよさそだった。
しかし、私が気になっていたのは左足で、こちらは右足に比べ張りが強く感じられた。
その原因は骨盤の歪みから来る立っている時の両足にかかる比重の左右差によるもの。
まず、私は右足の疲労回復マッサージと柔軟を行った。
続いて左足へと取りかかり、筋肉の強ばりを解すように揉んでいく。
青峰は身体バランスに長け、筋肉のバランスも良いがやはりまだ一年生ということもあり、身体の成長著しい時期に激しい運動を連日行っていることもあり、僅かだが歪みが生じていた。
ゆっくりと血流を戻すようにマッサージを行うと、少しずつ固さが取れてきた。
青峰「……何だそれ……すげー気持ちいい……」
「ふふっ大輝の足、頑張ってるみたいだね。でも…もう少し楽に動けるようにしてあげるね?………そろそろかな。じゃあ、仰向けになってもらえる?」
青峰「……ん。」
青峰は体を反転させ、仰向けになった。
頭の下に自らの腕を差し込み枕代わりにすると、そのまま私の行動をまっすぐ見つめていた。
「ちょっと、ストレッチするね?足持ち上げるけど力抜いててね。」
青峰に声をかけ、私は彼の左足を持ち上げ、ゆっくりと骨盤の可動域に合わせて回した。
しばらくそのまま股関節を回す、開くという動作を続け、途中足先から足全体を引っ張るなど、左右の歪みを減らすストレッチを行った。
私が彼のストレッチに集中する間も青峰は私をずっとみつめていたようだが、私はそのことに全く気づかない。
青峰(……たかだか昨日、今日の俺の動きを見ただけで、改善点がわかるって何だそりゃ……だって、そんなんでわかったら誰も苦労しねーよなぁ)