第2章 出会い
今はすでに主将の座を虹村へと委譲した身にも関わらず、チームメイトからの信頼は熱く、後輩たちは皆、彼を慕っているようだった。
短めな黒髪でキリっとした二重が印象的な高城は、その整った容姿と厚い人柄で校内1のモテ男と称されているらしい。
__と、まあ、ここまでの情報は桃井の分析ノートから抜粋したわけで……
ちなみにこの高城に関するデータをまとめたページはやたらとピンクのアンダーラインやハートの模様が目立っていた。
そこからも、桃井の彼への思いが痛いほど伝わってくる。
「さつき、高城さんのこと、すっごい好きなんだね…!なんか、羨ましいな…」
目の前で愛しの彼への想いを爆発させている桃井を見つめながら、私は自分の中にはまだその熱が存在していないことに気づかされる。
___私も……さつきのように無我夢中で恋が出来たらなぁ……
でも、私は薄々感じていたことがある。
きっと彼女のように周りすら見えなくなるような激しい恋は、きっとできないと___
桃井「はぁ…♡もうたまんないよぉ///あの笑顔だけで生きていけるって感じ」
遠くの彼を見つめる桃井の目は蕩けるように熱を帯びていた。
私はそんな桃井を見て、思わず微笑んでしまう。
「ふふっ…高城さんは幸せ者ね?」
桃井は顔を真っ赤にして頷いた。
ふとコートを見るといくつかのチームがマッチアップを終わらせている様子が伺えた。
どうやら二人で恋バナに花を咲かせている間に時間は進んでいたらしい。
「あ……!やばいっ!もうすぐ3on3終わりそうだよ?!急いで取りに行かなくちゃっ」
桃井「えっ!?本当だっ!!きゃー急ごー!!」
私たちは急いでゼッケンを取りに行き、コートに戻ろうと必死に走ったのだった。