第2章 出会い
赤司の思いが私に伝わることはなく、再び虹村の声により練習が再開されることになった。
赤司「じゃあ……行ってくるよ。」
「うん!頑張ってね!」
走り去る赤司の背中を見つめつつ、私はフーッと息を吐く。
虹村につぎ、緑間と紫原のケアが行えたことに私は安堵していた。
__私は私のやれることをしよう!
もっともっと皆の力になりたい……
そう強く思い直すと、私は再びコートを走り回る選手たちを見つめていた。
桃井「__エレナっ♪今の内にミニゲーム用のゼッケン取りに行こうよ!」
没頭し見ていた私に桃井の声がかかる。
私は慌てて意識を戻すと、声の主の方へと駆け寄っていく。
「ごめんっさつき!つい、見いっちゃったよ…。ゼッケン取りに行こうっ」
桃井「いーのいーの!それもエレナの大事な仕事だしね♪」
桃井はどことなく嬉しそうな雰囲気を漂わせながら笑っていた。
その様子が気になった私は彼女に質問を投げ掛ける。
「___高城(たかじょう)さん?」
私がその名前を口にすると桃井の体がビクリと跳ね上がった。
そしてつぎの瞬間、隣を歩く彼女の顔がみるみると赤く染まっていった。
桃井「~~~////う"~……やっぱりエレナにはバレたかぁ…///……あーっ!もう!その通りだよー!!」
私は乙女全開の桃井の姿が可愛らしくて、思わず頬が緩んでしまう。
「ふふっ…さっきの休憩の時、話してたもんね?あの人3年生だったよね?」
なおも両手で顔を押さえながら恥じらう桃井は、先程の休憩時にいち早く高城の元へドリンクとタオルを私に行っていた。
その姿を見て私は気づいてしまったのだ。
__きっと彼がさつきの想い人
その予想はドンピシャだったようだ。
桃井「やっぱりバレバレだよね///?!でもでもっ!ちょっとでも近くにいたいんだもーん///きゃー♡」
隣で盛り上がる彼女の想い人こと
高城 類(たかじょう るい) は、
3年生で、192cmの長身でありながらも繊細な技術と類い稀なるボデイバランス、高校バスケ界ですらトップを張れるスピードの持ち主のSFの選手だ。
虹村の前に帝光中の主将を任されていたらしく、去年の全中制覇もこの人の活躍によるものだった。