第2章 出会い
赤司は紫原と緑間に視線を移し、尋ねた。
赤司「…紫原。その様子だと、足の調子は良くなったんだな。」
紫原「んーまぁね~。(赤ちん、何かずるーい…)」
赤司「…緑間はどうだったんだい?」
緑間「…あぁ。お前が言っていた通り……いや、それ以上だったのだよ。」
赤司「……そうか。」
赤司は二人の答えに満足そうに頷くと私に視線を戻した。
「征くんもドリンク飲むよね?…今、取ってくるね!」
取りに行こうとする私の手を赤司はそっと握ると、クスッと小さく笑った。
赤司「あぁ。俺も一緒にそちらへ行こう。」
彼の言葉に笑顔で頷き、ともに歩き出した私と赤司。
その姿を疎ましげに見つめる紫と緑の髪をした二人。
紫原「……なーんか、お菓子食べなくなってきた…」
緑間「……フンっお前のそれはいつものことだろう。……俺は行くのだよ。」
そう言い去っていく緑間だったが、その胸中は去っていく彼女のことで埋め尽くされていた。
緑間(赤司のようになれなくとも……俺は……何事にも人事を尽くすのみ……なのだよ。俺は俺で、必ず彼女を___)
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赤司は私から受け取ったドリンクを飲みながら、視線を私に向けた。
赤司「…桃井とはうまくやっているようだね。」
「うん♪さつきとは気が合うみたい。それにさつきはデータを収集して、まとめる能力に長けてるから、私の気になった選手のデータをうまくまとめてくれるの。その分、分析しやすくなってとても助かるわ。」
赤司「……そうか。それはエレナにとってそうであったように、桃井にとっても同じことが言えるだろう。」
赤司の言葉に私は微笑みを返す。
「そうかな?…ふふっだとしたら嬉しいな♪お互いの長所が生かせる関係だなんて素敵だもん。」
赤司は自分の隣で微笑む彼女を静かに見つめていた。
赤司(エレナは他人のことを悪く言うことはなく、必ず良い面を見つけ、受け入れる。そんな彼女だからこそ男女問わず、皆に愛されるのだが……それすら俺は疎ましくて仕方がない。……お前が目に写すのは俺だけで充分だ。)