第2章 出会い
更衣室の掃除を終わらせると、皆が来るまで私と虹村は話をしていた。
虹村は一見目付きも悪く、語調も強いため怖そうに見えるが、芯が通っていて仲間思いな、とても優しい人だった。
まさに、主将と呼ぶに相応しい人となりだと感じられた。
「あ、そうだ!修くんっ右手、出して?」
私はショートパンツのポケットの中に用意していたものを取り出す。
虹村「…あ?右手………?あーもしかして、ささくれか?」
虹村は右手を出すとささくれを触った。
「そうそう!中指!昨日の練習の時気になってね~。あ、これ私が切ってもいい?」
私は彼の右手に手を添え、伺うように虹村の顔を見上げた。
虹村「別にかまわねぇけど………///」(手ぇ!触ってるし……///?!つか、なんで上目使いとかしてんだよっ///可愛すぎんだろーが///!)
私はポケットから取り出したネイルケア用の鋏でささくれを綺麗に切り取るとキューティクルオイルを塗り込んだ。
虹村「…ん?なんだそりゃ……マニキュアかなんかか?」
不思議そうに見つめる姿が可愛くて私はクスリと笑ってしまった。
それに気づいた彼はムッとし顔をしかめてしまう。
「……ごめんごめんっ!不思議そうにしてたのが可愛くて、つい笑っちゃった♪ごめんね?……これはキューティクルオイルって言って、ささくれになりにくくするオイルだよ。だからマニキュアとは違うよ~。……はい、出来上がり♪」
虹村はすげーな、などと呟きながら指先を見つめていた。
そして、私の方に顔を向けるとニッと笑顔を見せた。
虹村「お前すげーな!観察力も半端じゃねぇけど、こうゆう細かいケアまでやれんなんて……マジですげぇよ。……ありがとう。これからもよろしくな?」
「__///!ありがとう!役に立てたなら嬉しいよ♪こちらこそ、これからもよろしくね?修くんっ!」
その後も部の話について話したり、雑談したりして過ごしていた。