第2章 出会い
【虹村修造】
「__じゃあ…修造だから………修くんっ」
名前を呼ばれた瞬間、全身がゾワゾワと粟立った。
ただ、名前を呼ばれただけのはずが、
聞きなれた音だったはずが、
目を奪われるほど美しく微笑む彼女の唇から発せられた音は
どうしようもなく俺の胸を焦がした。
俺は無意識に手を伸ばし、
彼女を俺の胸へと抱き寄せた。
__瞬間香る、花のような甘い香りが鼻を掠める。
抱き締めた体は、思っていたよりもずっと細く
強く抱いたら壊れるんじゃないかって思った。
髪を撫でると、さらさらと柔らかく、指の間を滑る感触はとても気持ちいい。
「___しゅ、修くん?」
エレナの声にハッとし、慌てて体を離す。
気づいたら最後、顔は熱くなり、心臓はバクバクと騒ぎ立てた。
虹村「__わ、わりぃ!」
動揺した俺は思わず彼女から顔を背ける。
「…どうしたの?」
それなのにエレナは追い討ちをかけるかのように俺の顔を覗き込んできやがった。
またその顔がどうしようもなく可愛くて、俺は再度抱き締めたくなるのを必死で我慢する。
虹村「い、いや、お前アメリカ生活長いし、挨拶はハグのほうが慣れてっかなって思ってよ?ははは」
我ながら苦しい言い訳だったが、エレナは素直に受けいれたようで全く気にした様子もなかった。
「…うち、パパがフランス人だから家でもハグ多いからね~確かに慣れてるかも。気遣ってくれたんだ?修くん優しいね♪」
にこりと微笑みかけてくるエレナを見て、俺は少し罪悪感を覚えた。
………が、その反面、自分はこんなに意識しまくってるのにこいつは全く意識してねぇってのがすげー腹立つけどな!
ま、でも赤司やほかの奴らも狙ってるっぽいし、俺とエレナがどーこーなるってのは望み薄そうだけど、俺なりに攻めてってみっかな。
この天然タラシな美人を。