第3章 夏が始まる
練習を終えた私たちは既に暗くなった帰り道を3人で並んで歩いていた。
青峰と緑間が交互に私を家まで送り届けてくれるようになり、今日は青峰が送ってくれることになっている。
分岐点でいつものように緑間と別れ、2人で歩く夜道。
そして、なぜか2人で帰るときはお約束事のようになってしまった繋がれた2人の手。
ふと見上げた夜空は綺麗で、思わず、綺麗だな、と呟いていた。
青峰「・・・お前がな。」
ビュウ___
ふいに顔を撫でた生暖かい夜風は、青峰の言葉を消してしまって。
何を言ったのか気になり、問いただしても青峰は笑ったままで。
青峰「ははっ別に。何でもねー。」
「・・・?」
青峰(星なんかよりお前のほうがよっぽど綺麗だっつの、バーカ)
マンションの前まで着くと、離されるはずの手はそれとは逆に強く握られて、不思議に思い青峰を見ると、真剣な眼差しとぶつかる。
「・・・大輝?」
ゆっくりと開いた口
「明後日からの全中予選・・・俺、頑張るから。・・・だから、俺のこと、応援してて欲しい。・・・エレナが応援してくれるなら、きっと俺はいくらでも頑張れるから。」
青峰から伝わってくる熱い闘志に、胸がジンと熱くなる。
大好きなバスケに真摯に向き合う姿を毎日近くで見ていた私は、彼の試合への熱い思いを知っている。
だからこそ、自分の応援が力になる、と言ってもらえることは心の底から嬉しいことで。
「もちろんだよ!精一杯応援するから・・・優勝、勝ち取っておいで?」
笑顔を向けると嬉しそうに目を細めた青峰。
「__ああ。俺達が必ずお前に優勝の瞬間に立ち合わせてやるから。・・・楽しみにしとけよ?」
「・・・うん!」
まもなく迎える全中予選。
きっとみんなならやり遂げてくれるよね。