第3章 夏が始まる
その後は赤司とともにリビングで全中や合宿について話をしていた。
「テスト明けすぐから全中の予選が始まるんだ?スケジュール結構厳しいね。」
赤司は優雅な仕草で珈琲を啜りながら、口許をフッと緩ませる。
赤司「そうだな。…でもまぁ、これが帝光の常識みたいなものらしいんだ。テスト期間で練習は限られてしまうが、無理な話ではないと思う。……今回は予選については俺たち1年が中心になって試合に望むらしい。………応援してくれるか?エレナ………」
赤司は優しい笑顔のまま私を見つめている。
「もちろんっ!むしろ、応援させてっ!」
頭の中に浮かぶ皆がコートの上で、縦横無尽に駆け回りシュートを決める姿が思い浮かび、それを考えるだけで私の胸は高鳴っていた。
赤司は私の言葉にほっとした様子で頷く。
赤司「………よかった。これで、優勝もほぼ決まったようなもんだな。」
_____二人で話す時間はあっという間に過ぎていき、気がつくと時計の針は21時を示していた。
先程、運転手に連絡を着けていた赤司は、徐に携帯を取りだし通話ボタンを押し、一言二言話すとすぐに電話を切ってしまう。
その一部始終を眺めていた私の頬に赤司の手が触れ、優しく撫でていった。
赤司「迎えがきたみたいだ。……今日は忙しい中、青峰に付き合ってくれてありがとう。夕飯も最高に美味しかったよ………また、よろしく頼むね?」
彼の言葉に自然と笑顔になった私は、頬に触れる赤司の手に自分の手を重ね、大きく頷いた。
赤司「それじゃあ…………おやすみ、エレナ……」
玄関で見送る際、当たり前のように重なる唇。
すぐに離れた赤司の顔は優しく微笑むと扉の外へと消えていった。
誰もいなくなった部屋を見渡し、私は少し寂しさを覚えていた。
これからテスト期間も大詰めになり、彼らに会えるのは5日後。
会えない時間は寂しいが、自分にはモデルの仕事がぎっちり詰め込まれているため、皆がテストを頑張る間、自分は仕事を頑張ろう、と一人気合いを入れ直す。
テストが終われば、全中予選開始!
あと少し、頑張るぞっ!