第13章 枷 元就 ★
「元就、様」
「…誰だ!」
つい、口から洩れてしまった声に元親らしき人物が反応する。
元就らしき人物は、落ち着いた様子で階段の上の方を見上げ、声を出す。
「出てくるがよい」
もうこうなってしまえば、いつか上に上がられてしまい見つかるだろう。そう判断したはおとなしく階段を降り、此方を警戒している2人の前に姿を現した。
「ここに住んでる女か?」
「…はい」
は目の前で確認し、やはり400年程前に出会った奴らだと認識した。
「へェ、じゃあ噂ってのは本当だったっつーことだな…」
元親はポケットに持っていたものを押し込み、苦笑いを零した。
だが元就は動じる様子もなく、は見ている。
「…申し訳、ございません。今明かりをつけてきます」
その視線に耐えきれず、は屋敷内に明かりをともす為スイッチを押した。
すると暗かった室内に優しい明かりが灯り、周りの家具や外の景色を眺められるようになった。
「名はなんと申すか」
「、と申します」
深々と頭を下げ、もう一度謝罪する。
驚かせてしまったこと、名を呼んでしまったこと、そしてなつかしさに浸ってしまったことに。
「さんよ、アンタ…ずっとここにいるのか」
「はい、もう、数えきれないほどの年を越してきました」
「へぇ」
まだ2人は警戒しているようで、後ろにあるドアにすぐにでも吸い込まれてしまうような体制をとっている。
その姿がとても悲しくて、は俯いてしまう。