第13章 枷 元就 ★
歳月は過ぎていき、いつの間にか元就も30を超えていた。
未だに縁談を受けようともしない彼を気にしていたは縁談話が書かれている紙束を抱えて執務室へ向かった。
「元就様、縁談話が」
「断れ、興味などない」
またそう言うだろうと思っていたが、今回ばかりは引き下がれないのだ。
今や大国と化したこの中国。国内の士気を高めるためにも元就には縁談を受けてほしかったのだ。それにもう今年で齢30、独り身の彼はいつ子孫も無く死ぬか等分からないのだ。
ならば今すぐにでも縁談を受け、子孫繁栄を。
「隣国からの縁談です、毛利家繁栄の為にも」
そう言っても元就は手元の書類から目を話そうともしない。
隣国は小さい国でありながらその兵力は恐れるものであった。目を離したすきに、今は毛利家に従っているものの、いつ謀反を起こされるか等分かったものではない。
ならば今、その兵力を我が手のモノとし、安定した生活を行うべきだった。
「元就様」
「貴様はどうなのだ」
「…は、私ですか」
書類をめくる手を止め、目線はこちらに向けず、ただ言葉だけをへと紡ぐ。
「我がそ奴と話を進めたとしよう。貴様はどうなのだ」
「……」
元就は気づいているのだ。からの恋心に。
それをわかったうえで聞いているのは彼女にも理解できている。きっと縁談を進めればには居場所がなくなり、また一人、死ぬこともかなわない孤独の身で生きなければならないのだ。
「慣れて、おります」
元就は悲しそうにそうか、というとの手から縁談話の書を奪い取り執務室にこもってしまった。