第12章 頑張り屋 幸村
「私、どうすればよかったんだろう。どうすれば真田君に嫌な思いをさせずにすんだんだろう」
「…人の事を考えすぎだ、もっと自分の考えを突き通してくれ」
は体をゆだね、幸村の胸に顔をうずめる。
「何を思っているのだ」
「何、って」
「何を抱えておる、不満は、無いわけがなかろうに」
ぽんぽん、と背中を叩いてやれば静かな嗚咽が聞こえてくる。決して泣き顔を見られないように、泣き声を必要以上に聞き取られないようにもごもごという。
「…面倒臭い、リレーだってやりたくない、学級委員だからってなんでもかんでも任されたくない」
「…うむ」
「私だって、応援団やりたかった…!放課後も友達と遊びたい、好きな人ともずっといたい、でも、そんなの叶わない、悔しい、やだ、独り占めしたい」
「そう、なのか」
ぎゅう、と幸村は強く強く抱きしめる。もそれにこたえるように強く抱きしめ返した。
「真田君、好きだよ、大好き。先輩の所に行かないでよ、私とペアの学級委員じゃんっ…!」
「…すまぬ」
「その謝罪は、何の謝罪なの…?!」
とても弱い力で幸村の背中を叩いた。何度も何度もたたいて、気持ちをぶつけた。
告白に対しての謝罪なのか、ペアなのにも関わらず仕事をしなくて申し訳ないという意味なのか、こうやって抱きしめていることに対しての謝罪なのか。