第12章 頑張り屋 幸村
「さ、昨日は申し訳ありませんでした!!」
「気にしてないってば!」
結局あの後一人で仕事を終わらせたは職員室へ向かい、大量の冊子を委員会担当の先生に提出した。
幸村は練習相手として務め終った後教室へ大慌てで戻ったのだが、そこにはもうの姿はなくもの家の空だった。
「なにかお詫びを…」
「私がやりたくてやったんだからいいの」
朝のチャイムが鳴り、各自席に付き始める。
「で、では本日の放課後は何かご用事は」
「ないけど」
「…話が、あるのだ」
そうぼそっと呟くと幸村も席に着いた。
深刻な顔になる程大切な用事なのかとは朝読書の為自分の鞄から本を取り出してそれを読みながら思った。
幸村の席はから見てすぐ右列の前列から二番目。なので様子はすぐに伺う事もできる。
いつもより本に集中しているようには見えなくて、そわそわしているように感じた。
「…なんかしたっけ」
今迄の行動を振り返るも、幸村に嫌な思いをさせるような言動はとっていなかったと感じる。
必要以上に話しかけるようなことは絶対にしないし、同じ委員会だからと言って一緒に委員会室へ向かうようなこともない。負担をかけさせるようなことはしていないはずだし、暴言を吐いたこともない。
そう考えだすと、何に対してあんなに深刻そうなのかがわからない。
もしや相談ごとだろうかと、は勝手にうきうきしていた。