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BSR短編集

第12章 頑張り屋 幸村



「殿っ」

幸村が両手いっぱいにプリントを抱えて此方に走って来るのが見えた。

「え、なにそれ」

「体育祭のプログラム作りにござる」

この学校では体育祭を二日間に分けて行うのだ。
こんな学校は稀かとは思うが、教育方針が体育を中心に、という学校なので体育祭を二日間も行うのだという。
その為、物事をちゃんと良い流れで行わないと時間はどんどん狂っていくし、面倒なことになるのでこういったプログラム作りは重要なのだ。まぁ作るといってもあらかじめ印刷された何枚かのプリントを折り曲げて、表紙と一緒にホチキスで止めるだけなのだが。

「この仕事って一年の役目だっけ?」

「はい、そうらしいですぞ」

は幸村から半分プリントの束を受け取って、自教室へ向かった。
放課後の底には誰もおらず、校庭ではサッカー部が元気よく活動している。

「あ、そうだ、真田君って部活はいってないの?」

「一応サッカー部ですが、今日新入部員は休みをいただいておりまして」

もうすぐ大きな大会があるらしく、その為先輩方は大きくスペースを使って練習試合を行っているのだという。なので新入部員はいても邪魔だという事から休みになったらしい。

「そうなんだ、出ないの?」

「某が、ですか」

「うん、だってずっとやってたんでしょ?サッカー」

上手くはないと否定する幸村をはそうなんだ、と話を聞く。
漸くゆっくり仕事ができると張り切っている幸村を横目には静かにホチキスでプリントをとめていった。



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