第12章 頑張り屋 幸村
それから2ヶ月、初参加である体育祭が行われる。
男女で出場できる競技に違いはないものの、最後のリレーだけは距離に違いがある、そんなものだった。
「はい、では出場競技を決めたいと思います。」
体育祭実行委員が欠席していたため、急遽学級委員が仕切ることになった。
「…リレーの選手がまだ決まっておりませぬな」
「うん、めんどくさいよね、これ」
障害物競走や短距離走と違い、個人にかかる負担がとても大きい為皆はこのリレー選抜選手を避けようとする。
足の速い順になるのが決まりだとは思うのだが。その子たちがどうにも引き受けてくれないので、仕方なく足の遅い子がやるしかないのだ。
「ちゃん、足速くない?」
「えっ」
「ほんとだ!なんも出てないし、やらない?」
面倒くさがっていた女子たちが急に騒ぎ始め、を囲み始めた。
幸村はそれを見て止めに入ろうとしてくれていたのは分かったが、どうにも女子が苦手なのは克服できないようでそれができない。
「あー…まあ、いいけど」
「ほんと?!決まり~ッ!」
あっさり決まってしまい、女子も直ぐに自分たちの席に戻っていく。
それを驚いたような目で見たいた幸村はに恐る恐る話しかけた。
「も、もしや、今のは…」
「…ううん、気にしなくていいって!」
そう、は幸村が女を苦手にしているのは知っていたので、さっさと追い払ってあげたかったが故に引き受けたのだった。
「ですが」
「だから、私がやりたかったの」
全て決まったという事で、話し合いは終わった。