第12章 頑張り屋 幸村
「も、申し訳ない」
「いいのいいの」
結局先輩に迫られていた幸村は何一つ仕事に手を付けられる事なく委員会活動顔合わせが終ってしまった。
代わりにが終らせたため、先生も文句は言わなかった。
「次はしっかりとこなします故」
「そんな気にしなくていいよ?」
幸村とは委員会室を後にして、二人で下駄箱に向かった。
「人気者は大変だねぇ…」
「は、はぁ…?」
「真田君の事だよ、ったく、先輩もちゃんと考えてくれればいいのにね」
上履きを脱いで靴を取り出し、そこに脱いだ上履きを入れた。
幸村はささっと履き替えたようで、が出てくるのを待っていた。
「先帰ってていいよ?」
「いえ、ご一緒させてくだされ」
「えー…、あ、気にしてるの?委員会の事」
「あ、いや…」
沈んだその表情を見て、は噴き出す。そんな反応をされて幸村はムッと表情をこわばらせた。
「あはは、ほんと気にしなくていいよ?」
「ですが…」
「大丈夫だって」
じゃあね、とは手を振って幸村と別れた。