第11章 嘘つき 家康
「ここがワシの家だ、ゆっくりしていってくれ」
家康の家は少し古いアパートの二階だった。
ここは家康の両親の親戚が経営しているアパートで、高校生になった彼を自立させようと親戚が部屋を一室かしてくれたらしい。家賃などは安くしてもらって、親が払っているとかなんとか。
「お邪魔します」
サンダルを脱いで部屋に入ると、冷房が効いていたのか涼しい風がの頬を撫でた。
汗がすぐに引くことはなかったがゆっくり体が冷やされていった。
「何か飲むか?」
「んっと、…うん、なんか貰おうかな」
カバンをおろし、冷えた床にペタンを腰を下ろす。
周りを見渡せば、きっちり仕舞われている本棚かと思えば巻数が見事にバラバラだし、TVは少し埃をかぶっていた。恐らくまめに掃除をしたりするタイプではないのだろう。
「…な、何を見ているんだ」
「え?いやー…家康の部屋ってこんな感じなんだなって思って」
コップにはオレンジジュースが注いであり、それを受け取り一口飲む。
「掃除は好きな方だったんだが」
「マメにする方じゃないんでしょ、私もそうなんだよ」
「そうだったのか!」
暫く他愛もない話をしていると、はふと、メールの内容を思い出した。
確か伝えたいことがある、と。
「そうだ、メールの…なんか大切な用事?」
「あ、あぁ…そうだったな」
言いにくそうに頭をかいた家康は苦笑いをする。